みんなのオリジナル広場

手にする人のことを想う 作品づくりの視点

Tags: 作品づくり, ものづくり, デザイン思考, インスピレーション, 共有

ものづくりに取り組む中で、どのような作品を作るか、どのように技術を向上させるかといった点に意識が向きがちです。しかし、もう一歩踏み込んで、「この作品は誰かの手に渡るのか」「どのような場面で使われるのか」といった、手にする人や使われるシーンに想いを巡らせる視点を持つことも、作品づくりをより豊かにする大切な要素となります。

作品を使うシーンを具体的に想像してみる

作品をデザインしたり制作したりする際に、「この作品が完成したら、どんな人が、どんな場所で、どのように使うだろうか」と具体的に想像してみることから始めてみましょう。

例えば、アクセサリーを作る場合、パーティーのような特別な日に着けるのか、それとも普段使いとしてカジュアルな服装に合わせるのか。バッグなら、通勤に使うのか、休日のお出かけ用なのか。雑貨なら、部屋のどこに置かれ、どんな機能を持つのか。

このように使うシーンを具体的にイメージすることで、デザインの方向性だけでなく、素材の選び方、サイズ感、耐久性、そして色や装飾の細部まで、様々な要素が見えてきます。単に「かわいいから」や「流行っているから」だけでなく、作品の機能性や実用性も視野に入れることで、より使う人に寄り添った作品が生まれます。

手にする人の気持ちに寄り添う

さらに、一歩進んで、その作品を手にするであろう人の年齢層、性別、ライフスタイルなどを想像してみましょう。

例えば、小さな子供向けの作品であれば、安全性は何よりも重要です。誤飲の可能性がないか、尖った部分はないか、口に入れても安全な素材かなどを考慮する必要があります。また、高齢の方や体に不自由のある方が使うものを想定するなら、軽さ、持ちやすさ、開閉のしやすさ、文字や絵の視認性などがデザインの重要な要素になるでしょう。

このように、使う人の立場に立って考えることで、デザインや技術的な工夫だけでなく、作品に「思いやり」という心が加わります。それは作品の魅力となり、手にした人に自然と伝わるものです。

機能性と美しさを両立させるヒント

使う人のことを想う視点は、決してデザインの自由度を制限するものではありません。むしろ、具体的な制約や目的があることで、創造性が刺激され、新しいアイデアが生まれることがあります。

例えば、耐久性が必要な作品であれば、デザイン性を損なわずに強度を高めるための接合方法や素材の組み合わせを工夫する必要が出てきます。雨に濡れる可能性のあるものなら、撥水性のある素材を取り入れるか、防水加工の方法を検討するなど、機能的な側面をクリアするために、デザインや技術の新たな扉が開かれることがあります。

機能的でありながら美しい、または使うシーンに自然と馴染むデザインは、作品に深みと実用性をもたらし、結果としてより長く愛される可能性が高まります。

想いを込めた作品は自然とストーリーを持つ

手にする人や使われるシーンを深く考えて作られた作品には、自然とストーリーが宿ります。「あの人が、あの場所で使うことを想像して」という作り手の想いは、作品自体の持つメッセージ性を高めます。

このストーリーは、「みんなのオリジナル広場」のようなコミュニティで作品を共有する際に、非常に大切な要素となります。作品の写真だけでなく、その作品に込められた想いや、どのようなシーンでの使用を想定しているかといった説明文を添えることで、見る人は作品への共感を深め、単なるモノとしてではなく、作り手の心を感じ取ることができます。

作品の写真を撮る際にも、実際に使うシーンをイメージさせるような背景や小道具を置いてみるなど、少しの工夫で作品の持つストーリーを伝える手助けになります。

まとめ

作品づくりにおいて、技術や表現力を磨くことは重要ですが、それに加えて「誰かの手に渡り、誰かの日常の一部になる」という視点を持つことは、作品に新たな価値を与え、制作のモチベーションにも繋がります。

手にする人の笑顔や、作品が使われる温かいシーンを想像しながらものづくりに取り組むことは、創作の喜びを一層深めることでしょう。このような視点を持って作られた作品は、きっと見る人の心にも響き、共有する場においても特別な輝きを放つはずです。