作品に込めた想いを言葉にするヒント
ものづくりに打ち込み、心を込めて作品を完成させたとき、次に考えたくなるのは、その作品を誰かに見ていただくことかもしれません。みんなのオリジナル広場のように、自分の作品を共有する場では、写真だけでなく、作品に添える「言葉」も大切な要素となります。
しかし、いざ自分の作品について言葉にしようとすると、何をどう書けば良いのか迷ってしまう、うまく表現できない、といった方もいらっしゃるかもしれません。作品そのものが雄弁に語るものではありますが、そこに作り手の想いや背景が加わることで、見る人にとって作品がより深く、魅力的に感じられることもあります。
ここでは、作品に込めた想いを言葉にするためのいくつかのヒントをご紹介します。完璧な文章を目指す必要はありません。あなたの素直な気持ちを表現するための、小さな一歩となることを願っています。
想いを言葉にする準備をする
作品について書こうと考える前に、少し時間を取って作品と向き合ってみましょう。
- 作品を客観的に眺めてみる: 完成した作品を、少し離れた場所から見てみたり、様々な角度から写真を撮ってみたりします。普段制作している時には気づかなかった、作品の新たな一面が見えてくることがあります。
- 制作過程を振り返る: この作品をなぜ作ろうと思ったのでしょうか。どんな素材を選び、なぜその色や形にしたのでしょうか。制作中に楽しかったこと、難しかったことは何でしたか。試行錯誤した点や、こだわったポイントはありますか。制作の道のりを辿ることで、作品に込められた時間や労力、そしてその時々の感情が思い出されます。
- キーワードやイメージを書き出す: 作品を見て、あるいは制作過程を振り返って心に浮かんだ単語やフレーズを、自由に書き出してみましょう。例えば、「海の色」「やさしい手触り」「光に透ける」「元気が出る」「静かな時間」など、具体的なものから抽象的なものまで、思いつくままに書き出します。これが、文章の素材となります。
- 誰に、どのように使ってほしいか想像する: もしその作品を使う人がいるとしたら、どんなシーンで、どんな気持ちになってほしいと思いますか。具体的な使い道を想像してみることも、作品の魅力やコンセプトを明確にする助けになります。
言葉にしてみる具体的なヒント
書き出したキーワードやイメージを元に、実際に文章を組み立ててみましょう。
- 「なぜ作ったのか」を伝える: 創作のきっかけや、作品に込めたテーマ、伝えたいメッセージがあれば、それを率直に書いてみます。「〇〇な気持ちを表現したくて」「△△の風景にインスピレーションを受けて」のように、制作の出発点を共有することで、見る人は作品の背景にあるストーリーを感じ取ることができます。
- 「こだわった点」を具体的に: 特に工夫した素材の組み合わせ、色使い、形、技法など、作品のチャームポイントを具体的に説明します。「この部分は〇〇という特別な技法を使っています」「△△色の糸を重ねることで、光の当たり方で見え方が変わります」といった具体的な説明は、作品への興味を引き出します。
- 五感に訴える表現を取り入れる: 作品の見た目だけでなく、手触り、重み、音(もしあれば)、香りなど、五感に訴える言葉を使うことで、見る人はより鮮やかに作品を想像できます。「さらりとした手触り」「ずっしりとした存在感」「耳元で揺れるたび、小さく響く音」など、体験を共有するような表現を試してみましょう。
- 作品名に込めた意味を添える: もし作品に名前をつけているなら、その名前に込めた意味や由来を説明するのも良い方法です。タイトルだけでは伝わらない、作品への想いを補足できます。
- シンプルに、分かりやすく: 難しい言葉や専門用語は避け、誰にでも伝わるような平易な言葉を選びます。長すぎる文章よりも、簡潔にまとまった文章の方が、かえって強い印象を残すこともあります。一番伝えたいことから書き始めても良いかもしれません。
- 正直な気持ちを表現する: 完成までの苦労や、作品への愛着、完成した時の喜びなど、制作を通じて感じた正直な気持ちを少しだけ言葉に加えてみることも、見る人との共感を生むことがあります。「この部分の制作には苦労しましたが、おかげで納得のいく仕上がりになりました」「完成した時、思わず歓声があがりました」といった一文が、作品をより身近に感じさせます。
公開すること、共有すること
作品を言葉にして公開することは、少し勇気がいるかもしれません。しかし、あなたの言葉で作品を紹介することは、いくつかの良い機会をもたらします。
- 自身の作品をより深く理解する: 言葉にしようと考える過程で、ぼんやりとしていた自身の想いやこだわりが明確になります。これは、今後の制作活動にとっても有益な自己分析となります。
- 見る人との繋がりを作る: あなたの言葉に共感した人や、作品に興味を持った人がコメントをくれたり、質問をしてくれたりすることがあります。作品を通じた新しい繋がりが生まれる可能性があります。
- 他の作成者の表現から学ぶ: みんなのオリジナル広場には、様々な方が自分の作品を様々な言葉で紹介しています。他の人がどのような言葉で作品の魅力を伝えているのかを見ることは、自身の表現の幅を広げるヒントになります。
作品に込めた想いを言葉にすることは、制作のもう一つの側面です。完璧な文章を目指す必要はありません。あなたの心からの言葉は、きっと作品を見る人に伝わります。ぜひ、恐れずにあなたの「声」を作品に添えてみてください。